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ゲルソン療法っていったいなに?

正常分子医学より40年も前から、栄養療法でがんに立ち向かった医師がいました。1933年ドイツからアメリカに渡ったマックス・ゲルソン医師は、独特の食事によるがんの治療を成功させ、以後20年余り末期がんの治療を行いました。にんじんジュースを中心とした菜食によって適切な栄養素を補給すること、不適切な食事を禁止すること、コーヒー淀腸によって体の中の毒物を外に出すこと、ビタミン(ビタミンB3<ナイアシン>やビタミンB12)、ヨウ素、カリウム、消化酵素(ペプシン、パンクレアチン)を補うことが、ゲルソン療法の骨格です。認められた唯一の脂肪は、亜麻仁油でした。しかし彼の療法は、次第に当初よりも効果が薄れてきました。その原因は、作物自体の栄養素が十分ではなくなってきたことにありました。化学肥料や農薬で、以前ほどの力が作物に備わらなくなってきたのです。それを補うために、子牛の生レバージュースを1950年代から使い始めました。しかし飼育のためのホルモン剤や抗生物質のためにこれも治療効果がなくなってきたり、牛の病気の流行があったりして中止になりました。栄養療法がいかに利用している作物の質や栄養素に影響を受けるかということが、これでお分かりいただけるかと思います。ゲルソンは栄養療法のパイオニアでした。ゲルソンは、まだ結核のクスリのない時代に、食事療法でシュバイツァーの結核を治したこともあり、シュバイツァーをして天才といわしめた医師です。しかし天才肌のゲルソンのあとを正確に引き継げる医師はいませんでした。素晴らしい治療法でありながら、誰もあとを継げないのです。患者のその時々の状態や、摂るべき作物に以前の力があるかどうか、ないならばどうすればいいのかが分からないまま、以前と同じようにやっているだけでは、治療成績を保てないほど、末期がんの治療はむつかしいのです。一方、正常分子医学は、精神分裂病の治療に成功して以来、着実に成果を上げてきました。同時に使用した栄養素に関する科学的なデータをとり、ほかの医師がその情報を利用しやすくしました。そのおかげで、クスリを中心とした現代医学に疑問を持つ医師が、積極的に栄養療法に参加するようになりました。現在、アメリカやカナダで栄養療法をしている医師は、正常分子医学の流れをくんでいます。