父親の支配から抜け出せない女もいる。ユングによれば、すべての男性は心の中に理想の女性をもっているという。またすべての女性の心の中には理想の永遠の男性が存在する。父親が心の中の永遠の女性像を娘にむけ、娘が心の中の永遠の男性像を父親にむける時、父と娘の結介の強さが問題をひきおこすことがある。B子さんの父親は大学教授で外見もスマートな男性である。軒書も多く、勉強家でスキーやヨットと趣味も多彩である。祖父は実業家で不動産を残したため経済的にも豊かで、B子さんは不自由なく育ちアメリカに留学したこともある。唯一の問題といえば母親で、料理や家事など家庭的なことは苦手でしじゅう友人と海外旅行に出かけ遊び歩いており、B子さんとは仲が悪い。しかしそのぶん父親が手料理を作ったりして、母親の役割を果たしてくれた。B子さんもそんな父親を尊敬し感謝している。父親以上の完璧な男性はいないだろう、とB子さんは思っていた。同級生とつきあっても父親にくらべると、なんて子どもなんだろうと感じ、結婚しようとは思わなかったとB子さんは言う。何度かお見合いをしては断わっているうちに三〇歳になり、父親の大学の研究室の講師と結婚することになった。